短答式試験で39点を取る方法
まずはじめに

本記事は、いつも短答式試験が30点ジャストくらいで止まっている人に向けた勉強法の話です。また、予備校職員としてたくさんの受験生を見てきた経験に基づき、また、自身が勉強があまり得意ではなく、どちらかというとウサギというより亀でありながら勉強をし続けてきて気づいた内容をまとめております。
どうも、ニシジマ(@nishijima1029)です。合格体験記は最終合格してから書くのが筋なんですが、ちょっとリクエストを頂いたので、『弁理士試験の短答式試験で39点を取る方法』というタイトルでめちゃくちゃ僭越ながら記事を書かせていただきます。

最初に断っておきますが、これは単なる一受験生の実体験ですので、悪しからず。皆さんを煽るつもりはないです。普通にマイペースに勉強するのが吉です。
まあでも、短答式試験は模試や答練でもコンスタントに44,45点あたりをうろちょろしてましたし、全国模試の成績も11位まで食い込んだことがあります。逆に38点で落ちたこともあります。まあだから何やねん?って話なんですが、一応、短答式試験に対する最低限の実績はあるのと、初年度(R4)が25点だったんですよ。だから、全然できないところからできるところまでの上げ方みたいなのを私こそ書けるのではないかという自負もあります。また、予備校で長年勤務しており、たくさんの受験生を見ている中で、成績を見なくても合格する子としない子が手に取るようにわかるようになりました。受験生と話していると受かりそうかどうかがよくわかるんですよ。
下の動画は、短答式試験合格した瞬間の動画です。弁理士試験短答式試験当日にみんなで私の答案を採点したところを撮ってます(^^)/ youtube登録してくれよな!
筆者の経歴
私の経歴は大体こんな感じです。
- 予備校で長年勤務。たくさんの受験生を見て合格する子としない子の違いを学んできたつもりです。
- 大学はぼちぼちって感じのところ出身で、化学科出身です。勉強は昔からガチガチの平均(中央値)よりはできるけど、上位クラスに行っちゃうと途端にダメダメになるタイプでした(ウサギタイプではなく亀タイプ)。
- 弁理士試験の勉強開始が2021年3月。法律の勉強は初めて。初年度R4は1587時間の勉強時間で、2022年(R4)の短答式試験は25点で惨敗。
- 翌年(R5)の短答式試験は38点で惜しくも落ちる。
- その翌年(R6)の短答式試験は40点で合格。そのまま必須論文も合格。選択落ち。
テキストの言葉は条文を理解するための「単なる補助輪」である。

初学者にとって、法文集に書かれている条文って読みにくいというか意味がわからないと思うんですよね。私も同じで、初年度(R4)も真剣に勉強をしたつもりでしたが、条文を読むことはまだまだできていませんでした。でも、最終的には条文を理解する必要があります。条文を理解するというのは条文を読んで意味が解る、状況を把握できる状態です。これが最終目標です。
テキストは条文を理解することができない初学者のために、試験で問われる箇所についてわかりやすく書かれた、いわば初学者向けの翻訳文なんですね。だから、まずはテキストに書かれた言葉で理解するというのはもちろん重要です。当たり前過ぎて「そりゃそうだろ。」ってなると思いますが笑
ただ、テキストの言葉はあくまでわかりやすく書かれた翻訳文であり、条文を理解するための補助輪でしかないのです。だから、ある程度テキストを通読できるようになったら、条文とテキストの文章を見比べるとかそういうことをして、生の条文を理解する必要があります。
ちなみに青本(工業所有権法逐条解説)は要りません。こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、少なくとも短答では(論文でも)青本をガチで読むということはまああんまりないかと思います。ただし、テキストに掲載されている趣旨を読んだり、なぜその条文が存在するのかなどを理解するために辞書的に引くことは稀にあるかと思います。理解を伴う暗記をしないと膨大な弁理士試験に立ち向かうのは難しいからです。
一方で、「じゃあ何でもかんでも趣旨をしっかり全て理解し、なぜその条文が存在するのかを理解していこう!」とするのは正直愚策です。私たちは別に学者になるわけじゃないです。弁理士試験に受かるのが目標なのです。目的をはき違えると失敗します。とにかく、試験において(日々の日常生活においてもですが)、目的が何か見えなくなってしまったまま何となくやってるというのは無意味です。
予備校でも受験生が、「なぜそういう方法で勉強をしているのか?いつまでにどのようになっていたいのか?」ということを説明できない子はあまり良い結果じゃなかったです。漠然と勉強しているタイプですね。積み重ねていけばいつか成績が上がると思ってるタイプはダメです。そうじゃないんですね。逆算をします。あと何か月だからこのタイミングでこのくらいのことは理解しておき、成績は30点半ばになっておくとかそういうことです。シビアに、やるべきことを受験日から今日までの日数で日割りするんです。そして、小目標を掲げ続けてください。常に現実と向き合うことになるのでしんどいんですが、それをしない限りは厳しいです。
ちなみに私の場合は、短答式試験の答練、模試で毎回39点を割らないようにし、その成績結果をお守り代わりに印刷して本番それを持参して受験するというのを決めていました。まあこんな偉そうに講釈垂れてますが、私も受験生ですので…何かすみません。まあブログは私の舞台ですから。

条文って無機質な文章じゃないぞ。物語であり、小説です。
意匠法29条の2をちゃんと読んだことはあるか?
条文は無機質な文章じゃない。
意匠法29条の2はテキストではこんな感じで説明されています。
甲が先願A(イ)を出願したが、公知意匠ハにより、拒絶確定。乙は後願B(ロ)を出願した。イとロは類似だが、乙はラッキーなことに、ハとロは非類似だったので、登録された。甲は、登録の際現に実施または準備をしていれば、イの通常実施権(29の2)をもつ。

イ≒ハだったので、先願は拒絶されたけど、ロ≠ハなので、ロは登録された。でも、イとロは類似なので、先願で拒絶された甲は自分が出願したイについて実施ができないのが可哀そう。だから、イについて通常実施権を与えるというものです。趣旨を含めて書きましたが、趣旨部分はテキストに載ってたり、青本があったりするので、ある程度それで「どうして29の2通が認められるのだろう?」ということを知る必要はあります。
こういう趣旨を知り、条文を見ることで、「意外と拒絶された甲みたいなのを保護しようとするのが知財法の考え方なんだな。」と思うことが大事です。趣旨を読んで、考えて、感じてください。そして、他のよく似た条文を思い出してください。「そういえば特許法81条の満了後実施権についても満了して権利が消滅しているにも関わらず、そんな人に対して通常実施権を認めるんだな。意外と拒絶されたり、満了したりした人を保護するというのが知財法の考え方なんだな。そして、拒絶されたとしてる人も満了した人もどちらも先に出願している。つまり、先に出願するというのはその後通常実施権を与えられるくらいにそれほど素晴らしい行為なのだ!!!」と思うのです。考えるんです。条文は単なる無機質な文章じゃなくて、小説とか物語とかそっちなんですね。最終的に暗記することになるんですが、少なくとも「何でこういう条文が規定されてるんだろう?」とか、意匠法29条の2を見て、「自分が後願者だったら何か損するからやだな。そんなん公知意匠ハに類似するような意匠を出願した先願者が悪いんじゃないの?何でそんな奴に通常実施権を認めなあかんの!?」とか。そういう風に感じろってことです。

わかりやすい具体例で満足するな
テキストに掲載されている最も具体例は最もわかりやすい例で書かれています。だから、その例を通じて「この条文ってそういうことか!」と理解することで、その条文は理解しました。とするのはめちゃくちゃ早計です。確かに一番最初はそれで良いんです。幹を作る段階では非常に有効な手法です。
一番わかりやすい具体例で理解することでその条文が大体何を言いたいのかを理解することができるからです。ですが、何度も言うように最終的には条文に立ち返る必要があります。なので、テキストの文言を一字一句丁寧に読みながら、「確かにこの例を表す抽象化された文言になってるな。」と確認をしておく必要があります。つまり、条文と照らし合わせろということです。その上で、具体例は最もわかりやすい例で書かれているので、「では具体例と違ってこういう場合はどうなるのか?」などと軽い仮定をしてみたりすることで条文への理解は深まります。
意匠法29条の2はテキストではこんな感じで説明されています。
甲が先願A(イ)を出願したが、公知意匠ハにより、拒絶確定。乙は後願B(ロ)を出願した。イとロは類似だが、乙はラッキーなことに、ハとロは非類似だったので、登録された。甲は、登録の際現に実施または準備をしていれば、イの通常実施権(29の2)をもつ。
ニシジマはこの説明を読んだ後、条文に立ち返りました。
第二十九条の二 意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をし、
又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠権の設定の登録の際現に日本国内においてその意匠又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者(前条に該当する者を除く。)は、次の各号のいずれにも該当する場合に限り、その実施又は準備をしている意匠及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。一 その意匠登録出願の日前に、自らその意匠又はこれに類似する意匠について意匠登録出願をし、当該意匠登録出願に係る意匠の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者であること。
二 前号の自らした意匠登録出願について、その意匠登録出願に係る意匠が第3条第1項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定した者であること
青線を引いた意匠は後願、赤線を引いた意匠は先願を指します。打消し線は特に今回関わりのない箇所なので割愛のため引いております。これを踏まえて再度条文を読むとニシジマはこの条文を以下のように読みます。
後願を知らないで自ら後願の意匠若しくは後願の意匠に類似する意匠を創作し、意匠権の設定登録の際現に日本国内において後願の意匠又は後願の意匠に類似する意匠の実施又は準備をしている者は次の各号に該当する場合、通常実施権を有する。
一 後願の日前に自ら(先願者)後願の意匠又はこれに類似する意匠について意匠登録出願をし、当該意匠登録出願に係る意匠の実施又は準備をしている者
二 3条1項各号で拒絶確定した者
こんな感じです。さて、テキストの具体例を当てはめます。「後願ロを知らずにロと類似するイを創作し、公知意匠ハによりイが拒絶されているのだから、確かに甲は通常実施権をもつよなあ。」
これで終わっていては条文をちゃんと読めてません。それは具体例が条文にあてはまることを確認しただけです。つまり、「具体例→条文」の見方しかしておらず、しっかりと抽象化された条文を読んで理解するという作業ができていないのです。次に、ニシジマはこう考えます。
「確かに類似する意匠を創作し」なら意味は分かるが、「自ら後願の意匠を創作し」の場合はどういう意味なんや?何で先願として、3条1項各号の拒絶理由がない後願ロについて『先願として』甲は出願したのに、甲だと拒絶されて乙だと拒絶されないのや? 「『先願甲ロ→拒絶』『その後、後願乙ロ→登録査定』ってことよな?甲だけ何で同じもの出願してるのに拒絶されるんや?しかも乙は後願やのに登録査定になってるし???」

こういう風にちゃんと条文を読んでるか?と私は訊きたいのです。抽象化された条文を読んで具体的に事例を自分で考える作業をするのです。ちなみに上記の疑問の答えはチューターさんに教えてもらいました。ここでは説明を割愛します(もし興味があるなら理由は下の記事からどうぞ~。)。なお、この論点自体は弁理士試験であまり問われるような内容ではないので、不要かと思います。ただ、勉強する上での頭の使い方がこんな感じであるという一例として挙げました。
ちなみに私がそのように思うのは妥当とのことだそうです。理由を説明されて確かに納得しました。
解説を鵜呑みにしてるようではまだまだ甘い。解答に満足するな。とことん比較せよ。
解説に対して批判的になれるか
H17-15-(二)で、以下の問題が出題されています。
審査において、引用例aに基づく進歩性欠如を理由とする拒絶理由が通知され、ついで、引用例bに基づく進歩性欠如を理由とする拒絶理由が通知され、後者の理由で拒絶をすべき旨の査定がなされ、拒絶査定不服審判が請求された場合において、審判官は、改めて拒絶理由を通知することなく、引用例aに基づく進歩性欠如を理由として、拒絶審決できる。
この問題、どう思いますか?〇?×?
特許法159条2項では次のように規定されています。
50条、50条の2の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。
つまり、拒絶査定と同じ理由については、拒絶査定不服審判係属中において50条を準用せず、いきなり拒絶審決をするというものです。つまり、俗にいう続審主義というものです。この条文に照らし合わせて問題文を再度見ます(この流れです。問題を解いて、解説を読んで「なるほどオッケー。」ではダメなんです。関連する条文ありきでそこから〇か×かを考えるのです。)。
159条2項からすると、この問題「×」になりませんか?拒絶査定された理由の引用例はbですよ?拒絶査定不服審判においては査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合は拒絶理由通知を打つということでしょ?つまり、引用例aに基づく進歩性欠如≠拒絶査定の理由である引用例bに基づく進歩性欠如なのだから、拒絶理由通知を打つと考えて「×」と考えるのが妥当ではないですか?
しかし、答えは「〇」でした。そうなんか…。条文の文言をそのままその通り鵜呑みにすると「×」なのに、拒絶査定の理由と異なる拒絶理由であってもいきなり拒絶審決はあるのか。つまり、審査段階で拒絶理由を1回でも打ってたら、その後の拒絶査定不服審判では「お前、これは審査段階で一度言ったはずやぞ?何でまだ解消されてないねん?拒絶理由通知なんて打たずにいきなり拒絶審決な。」ってなるということなんだと思います。趣旨的に。
わかりました。ここまではのみます。条文通りにいかない問題もあります。趣旨に鑑みて。そして、次にまた違う日に勉強をしているときにこんな問題に出くわします(R3-16-イ)。
ある特許出願について、29②の規定のみにより拒絶をすべき査定がなされた。その後、当該特許出願について補正されることなく拒絶査定不服審判が請求された場合において、審判官は、36⑥2違反と判断した。この場合、請求人に36⑥2違反の拒絶理由を通知することなく、拒絶審決がなされる場合がある。
さっきの問題を踏まえてこの問題を見たら、〇か×どっちにしますか?
私は最初「〇」と思いました。なぜかというと、
- 審査段階で36⑥2違反の拒絶理由を通知
- 補正で解消したものの29②違反となる
- 拒絶査定され、拒絶査定不服審判を請求する
- 審判官は「これって36⑥2違反じゃね?」と判断
という流れを踏めば(←そもそもでこういうことを考えられるかが結構大事)、審査段階で一度既に拒絶理由通知をしている36⑥2違反について、審判段階でどういう処分をするのかという話になるので、いきなり拒絶審決ですよね?しかし、この問題については「×」が答えでした。つまり、過去問同士で矛盾しているということがあるんですね。
このような矛盾が生じる理屈としては、最初に挙げた問題がH17の過去問、本問題はR3なので、かなりの年月が経過しています。流石に出題者といえど、合格していくような受験生ほど石にかじりつくように無数の過去問のデータを暗記してしまうほどやってるわけじゃないです。そのため、このような矛盾が生じてしまうのです。
どこまでを考えて問題を作るか、どこまでの状況を想定して問題を作るかというのは出題者の匙加減にゆだねられる部分があるので、問題ごとの揺らぎがあるのは致し方ないものだと思います。おそらくR3の出題者の意図としては、私の「1.~4.」のようなことを想定したような複雑な状況は加味しない、シンプルに159条2項を訊いた問題だったのです。ただ、そうであったとしてもR3は「場合がある」問題ですからね。私の解答「〇」も本当のところ正答だとは思います。一方で、「審査官が過誤で補正が解消したと判断した」と判断するのはさすがに問題の枠外であるともいえるのかもしれません。
別にこの問題が〇なのか×なのかなんて正直どうでも良いんです。一枝、一枝考え抜けということなんです。出題者が「×」としたのなら「審査官が過誤で補正が解消したと判断した」と判断するのはさすがに問題の枠外であるんだなという結論に至るまで出題者の意図を考えるのです。解答を読んで鵜呑みにして満足するなということなんです。どういう理屈で「〇」なのか「×」なのか。それを大事にしてほしいです。そして、その理屈が類題でもちゃんとあてはまるのかを試すのです。これを繰り返して条文の理解を深めていきます。条文の意味しているところを広すぎず、狭すぎず、理解することが大事なんです。
解説ってどう作られるか考えたことがありますか?
特許庁は各問題について「〇」か「×」かしかおしえてくれません(厳密には「何個あるか問題」の場合は枝ごとの答えは不明)。とすると、過去問集を作成している資格予備校の職員は特許庁が「〇」としているならば、「〇」となるような理由を説明した解説を書くしかないのです。「×」となるならば「×」となる理由を説明した解説を書くしかないのです。
そんな風に風見鶏的で本末転倒な(予備校としては出題者ではない以上、これが限界なので致し方ないですが)書き方をした解説に対して鵜呑みに100%信じるのはいかがなものか?ということなんです。しかも、市販されている問題集ならいざ知らず、予備校独自の講座の解説の場合、どこまで改正法などを考慮して刷新されているものかも不明瞭ですし、講師は忙しい以上、数少ない職員により書かれているものがほとんどだと思います。先生が校正や点検などをされているかもしれませんが。
とにかく、まあ私も全国模試を散々作成し、出題してきた者としてわかりますが、完全なものを作り上げることは不可能です。なので、受験者であるあなたも校正者の一人であるくらいの認識をもって、解説に対してあらさがしをするくらいの勢いでくまなく読んで考えてください。そういえば、R6の短答式試験では一字だけゴシック体になっていたことに確か気づきました。確か今年の短答式試験です。解いている最中に見つけました。そのくらい一文字一文字に命を懸けて試験を解いてました。

短答式試験の答練で出題された枝におかしい解説を見つけて、予備校に伝えて後日、答練の解答が変更され、受験者全員の点数が変わったこともありましたし、商標法のテキストに掲載されている問題の解説の論理がおかしいということで、これも予備校に伝えました。後日、指摘が正しかったようで、「すみません。」という連絡が入り、テキストの解説が変更されることになったとお聞きします。講座を取ってないので、どのように変わったのか知りませんが(クレーマー的には言ってませんよw!!)。
この件についての記事は以下にまとめております。
「条文理解」原理主義はダメ。バランスを取ろう。最終手段は丸暗記。

ここまで散々、「条文が重要。考え抜け!」的なお話をしてきましたが、条文ごとに濃淡は必要です。また、考えても趣旨がよくわからんというものも多々あるかと思います。青本を読んでも意味がわからんとか。そういう場合は暗記です。結局、最終的には覚えてるか覚えてないかが合否の差なので。それ以上でもそれ以下でもありません。私としては、単純に短答アドバンスを読み込み、正確に過去問20年分くらいの基礎レベルの問題と標準レベルの問題を条文ありきで解説できれば十分合格圏に入るかと思います。難しすぎる問題は正直不要です。そんなことよりも基礎レベル、標準レベルの問題を確実に合わせることが重要です。正答率50パーセントを超える問題を全て合わせれば30点半ば~後半にいくはずなんです。それが難しいんですけどね。
そして、何度も言うようにすべての条文について理解して覚えようとするのではなく、こんなもんここしかでーへんから、ピンポイントで丸暗記でよろしゅう~!っていうところは潔く丸暗記に徹してください。考えるべき条文かどうかの見分け方は単深いところを訊いてるかどうかだと思います。浅いところをちょろちょろしてる条文について趣旨をしっかり考えるのは無駄です。何度も言いますが、学者になるわけじゃないです。弁理士試験に受かることが目標ですから。
最初は解らなくて良い。ざっくりした幹に枝葉をつけるイメージで。
読書百遍。何周も読もう。色んな角度から考えてみよう。

最初から全てを理解する必要はないです。何周もやっていくうちに登頂が見えてくるようになります。というか、最初から全てを理解できるような人はそもそもいません。みんなまずはざっくり概要を掴んでそこから枝葉をつけていくんです。だから、端っこから順番に色塗りを丁寧に繰り返すというより、先ほど説明していた、まずは具体例やテキストの翻訳された言葉を通じて何となく理解するんです。この段階ではまだまだ過去問は解けません。間違っていいのです。どうせ50000枝することになります。どうせ50000枝を壁に向かって説明します。50000枝もやってると、過去20年で出題されたかなり多くの問題について説明ができるようになってきます。もちろん捨て問とか悪問も入ってますし、下三法や特にPCT規則なんかは知りませんが笑 うちのマンションの壁は私の解説を聴きすぎて短答式試験受かるだろうなと思ってました。
とにかく薄く何度も何度も繰り返しテキストを読んで、馴染んできたころに条文を読み始めるんです。そして、問題を解いて理解を深めていく作業です。最終的に短答アドバンスなどのテキスト1冊を1周読むのに1~2日とかで読めるようになるはずです。
最初は皆知識0%のところから登り始めます。この段階での条文やテキストの言葉、過去問はいわば頭頂部で霞んでほとんど何も見えません。だから、何が何のこっちゃわからんのです。でも、わからんなりに先生の話を聴いて、わからんなりにテキストの言葉を読もうとします。すると、1周目が終わった時にはとりあえず知識は5%か10%か人によりますが、ついているはずです。つまり、1周目のときに見ていた条文やテキストの言葉の霞み具合よりも少しだけ鮮明に条文が見えるはずです。でもまだまだ理解できません。それでいいのです。何周もすることで知識が充填された状態で改めて見る文章というのは同じ難しい文章でもわかる部分が少しずつ増えてくるのです。読書百遍という言葉があります。どれだけ難解な文章でも100回読んでください。100回いろんな角度からその文章と対峙していろんな角度から具体例をぶつけてみるんです。そしたら少しずつその条文の意味が理解できてきます。まあ根競べです。
行間の理解が難しい

勉強下手なタイプは行間の理解が難しいです。先日も民法の疑問を考えるために、カフェで一人、たった三行の文章について色んな角度から1時間ほど考えていました。そして、自分なりに考えたことをテキストに書き込んでその三行の文章について理解するんです。
勉強が得意だと端折られた薄い解説でも行間を自分で補完して文章を読めるんです。でも、私のような勉強下手なタイプはその補完が得意なタイプほどできません。なので、勉強下手なタイプこそ本当は分厚いテキストで解説がたくさん書かれたものが良いんですけどね。
テキストに「風が吹けば桶屋が儲かります。」って書かれてても私には理解ができません。「なんで?なんで風が吹いたら桶屋が儲かるの?」となっていまいます。これは他の類する話と接続させることができていない、つまり抽象化し切れていないから、この3行の文章を、ここだけの文章かのように見てしまっているのです。知識を鎖のように繋げる力が弱いのです。
今までの勉強を「考える」ことをせずに「暗記」で乗り越えてきた人たちはこの繋げる力が弱いです。「考える」のがしんどくて「暗記」に逃げてきたわけですから(私も「暗記」の力業で逃げ切る傾向がありました)。覚えるというのは良くも悪くも短絡的でその場しのぎの方法なんです。逃げなんですよね。それをうまい具合で使う分には有効です。完全に暗記を否定しているわけじゃないです。でも、同時に「考える」ということも勉強をするにあたってすごく大事なのだということです。要はバランスの問題です。
抽象化が下手くそな亀こそ大量の問題数を解け。抜きんでる方法はそれしかない。
人それぞれ抽象化が下手なタイプと上手なタイプがいます。先日、ブログに書いたこちらの記事です。
上の記事を読んで欲しいのですが、抽象化が下手な人(私もそうなのですが)は解く問題数を増やす必要があります。これは仕方ないです。問題を解くというのは条文の一面を理解することなんですね。1問からたくさんのことを吸収し、「こういう場合にも適用されるのか?」とか「この条文の趣旨はこういうことだろうな。」と考えられる人は他の類題や関連する問題が出てきたときに条文を理解しているので解けるのです。しかし、抽象化が下手で、具体例を具体例としてしか受け取れない人は仕方がないですが、50000枝やろうT_T。ただ、たくさんの問題を解けばいつか花開くみたいなことではないです。常に「その問題は何が言いたかったのか」を考えるんです。条文に立ち返るんです。
先ほどの具体例で挙げた159条2項の問題で、
条文の文言をそのままその通り鵜呑みにすると「×」なのに、拒絶査定の理由と異なる拒絶理由であってもいきなり拒絶審決はあるのか。つまり、審査段階で拒絶理由を1回でも打ってたら、その後の拒絶査定不服審判では「お前、これは審査段階で一度言ったはずやぞ?何でまだ解消されてないねん?拒絶理由通知なんて打たずにいきなり拒絶審決な。」ってなるということなんだと思います。趣旨的に。
と考えたように、まずは条文の文言に当てはめて正しいか正しくないかを考える。その上で、どうして「〇」なのか「×」なのかという理由が書かれた解説を読み、その問題の骨子を探る。これをすることが非常に重要です。最初はできなくてもやり続けるのです。
この問題は何が言いたかったの?というのを人に説明できるようになるまでその問題を考えるんです。
受かる子と受からない子
予備校で働いていてたくさんの受験生を見てきました。そして、受かる子と受からない子の差をたくさん見つけてきました。その差は「自分で戦略を立てて、自分で物事を考えているか」です。
受かっていく子たちは漠然と勉強をするということをしません。どうして今それをしているのか?というのを自分なりに仮説を立てて遂行します。そして、常に逆算的で、模試を受け続けます。ひたすら現実主義的です。そして、面談で話す機会があってもほとんど生徒が話します。「私は現時点ではこうです。だから、いつまでにこのようになるために一日の間にこれだけのタスクをこなします。すると、夏までにはこうなってるはずです。」こんな感じで話してくれます。非常に合目的的です。逆に勉強があまり得意ではない子はどうしてその勉強をしているのかを明確に答えられません。目的意識が低すぎるからです。そのため、生徒に問うても何も返って来ず、いつか合格するというぼんやりしたその日を何となく見て、逆算志向ではなく、積み上げればいつか…という思考で勉強しています。
目的意識をもち、現実主義になって、毎回現実と直面するべく模試を受け続けて、結果と対峙し、どうすれば上がるのかを常に考え、圧倒的に勉強をした人が受かります。どれを取ってもしんどいことばかりなんですが、結局のところしんどいことをしないと成果は出ないものなんだなと両タイプの生徒を見ていて思っていました。
ということで、私も民法ガチります。「お前ら頑張れよ~!」なんて言ってる立場ではないことは重々承知してますので…。油断したら殺されますよ。だりぃけど、勉強ガチるか~T_T仕事もだいぶ一段落したし…。忙しすぎて部屋散らかり過ぎて半日掃除してました…。
考えろ、考えろ。マグガイバー。
宣伝↓ 今日、久しぶりに動画をアップロードしました!
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