大学受験で出てくる超有名な6つの酸化剤・還元剤
どうも、毎日、予備校で模試を作成しているニシジマです。今日はとりあえずこれだけは押さえておけ!!っていう『酸化剤・還元剤』について一つずつ解説していくよ!単元別解説の一覧はコチラ!
超有名な酸化剤
酸化剤は電子e⁻を奪う海賊・ヤンキーみたいなやつだと思ってくれ。具体例は以下の通り。
- 過マンガン酸カリウムKMnO4
- 二クロム酸カリウムK2Cr2O7
- 硝酸HNO3
- 熱濃H2SO4
超有名な還元剤
還元剤は電子e⁻をあげるナイチンゲールみたいなやつだと思ってくれ。具体例は以下の通り。
- 硫化水素H2S
- 金属
たったのこれだけ!!!楽勝でしょ?とりあえず他はどーでもいいからまずはこの6つを押さえよう。
酸化剤と還元剤について
酸化剤というのは、e⁻を奪う物質(奪う海賊みたいなやつ)と思えばオッケー!還元剤というのはe⁻を放出する物質(奉仕をするナイチンゲールみたいなやつ)と思えばオッケー!これを組み合わせると下の図の通りとなる。
4つの酸化剤について
『酸化剤=e⁻を奪う物質』ということは,e⁻が不足している状態でめっちゃe⁻が欲しい!!と思っている物質なわけだ。先ほど挙げた4つ酸化剤を見てみると,
- KMnO4のMnの酸化数は+7
- K2Cr2O7のCrの酸化数は+6
- HNO3のNの酸化数は+5
- 熱濃H2SO4のSの酸化数は+6
どれもかなり”+”に傾いていることがわかる。”+”に傾いているということはe⁻不足だということを表している。e⁻が不足しているから、この4つの物質は「e⁻が欲しい!!」と思っているというわけだ。だから,この4つの物質はe⁻を奪う”酸化剤”という物質になる。
2つの還元剤について
『還元剤=e⁻を放出する物質』ということは,e⁻をたくさん持っている状態でもう別にいらないからe⁻を誰かにあげたい(=放出したい)と思っている物質なわけだ。先ほど挙げた2つの還元剤を見てみると,
- 金属(Na,Ca,Mg,Fe)などの金属の酸化数は0
- H2SのSの酸化数は−2
あれ?H2Sは酸化数が”–”に傾いているから,e⁻をいっぱい持っているということで,「誰かにe⁻あげよう」となって,e⁻を放出する還元剤になるのはわかるけど,どうして金属は還元剤になるんだ?
金属の酸化数は0なのに還元剤となる理由
金属の陽イオンのなりやすさを並べたイオン化傾向というのを勉強したことがあると思う。あれをおもいだしてもらったらわかるように金属というのは必ずe⁻を放出して,金属自身は陽イオンとなるM→Mn++ne−という反応をする。陰イオンの金属って見たことないでしょ?(特殊な場合を除いて金属は一般に陽イオンになりたがる。)つまり,金属というのはe⁻を放出して陽イオンになる傾向がある物質なんだよ。
- 電気陰性度も非金属と比べてかなり低い(=金属はあまりe⁻を欲しいと思っていない証拠)
- 金属は”自由電子”で金属結合を形成する(=金属はe⁻を”ガッチリ”持とうとするのではなく,自由にうろちょろさせる性質をもつ)
ことからも,金属ってあんまりe⁻を欲しいと思っていない物質の集まりなんだなということがわかる。なので,酸化数が0であっても還元剤として働く。例えばナトリウム金属が還元剤としてe⁻を放出する反応式は次の通り。
Na→Na++e−
逆に,金属がe⁻を受け取って陰イオンになるようなこんな反応見たことないでしょ?
Na+e−→Na−
金属は”陽イオンになりたがり”なのです!!!
半反応式をマスターせよ!!!
もう半反応式の書き方なんて腐るほどネット上にも賢い人が書いたわかりやすい参考書にも散々書いてるので,わざわざ説明する必要はないのかもしれないけど,一応KMnO4についてだけめちゃくちゃ丁寧に説明するよ!手順は以下の通り。
- 水に溶かして電離した状態を左辺に書く
- 還元した後のイオンを右辺に書く
- 左辺と右辺を見比べて”足りない分”をH₂Oで補う
- 左辺と右辺を見比べてH⁺を補う
- 電気的中性にする
1. 水に溶かして電離した状態を左辺に書く
ビーカーに入った水にKMnO4を溶かすと電離して,K+とMnO4–になる。これは暗記。
MnO4– →
※「イオン結晶なので」というと少し語弊があるけど,イオン結晶なのでよく溶けて陽イオンと陰イオンに分かれるから暗記というほどのことでもない。
2. 還元した後のイオンを右辺に書く
MnO4−が還元されるとMn2+となる。これは暗記。
MnO4− → Mn2+
3. 左辺と右辺を見比べて”足りない分”をH₂Oで補う
『2.』の式をみると,左辺にOが4つもあるので,”足りない『O』4つ分”を補うために右辺にH₂Oを4つ加える。
MnO4– → Mn2++4H2O
4. 左辺と右辺を見比べてH⁺を補う
『3.』の式の左辺と右辺を見比べると,右辺は4H2OのおかげでHが4×2=8〔個〕もあるのに,左辺にHが1つもない。なので,揃えるためにH⁺を左辺に加える。
MnO4–+8H+ → Mn2++4H2O
5. 電気的中性にする
左辺と右辺が電気的に中性でないので,それをe⁻で整える。電気的に中性でないというのは,『4.』の式の左辺と右辺を電気的(イオンの価数)に着目してみると,
- 左辺=-1+(+8)=+7
- 右辺=+2
で,左辺(+7)≠右辺(+2)は電気的に中性でない状態であるといえる。これを直すために5つのe⁻を左辺に追加する。
MnO4–+8H++5e⁻ → Mn2++4H2O
これで過マンガン酸カリウムの半反応式の完成だ。他も同じ要領でやると良い。ここで書いているととんでもない文字数になるので今回は過マンガン酸カリウムのみで!
【参考】
過マンガン酸カリウムが酸性条件下のときと中性・塩基性条件下では還元された後の物質が異なります。具体的には,酸性条件下ではMn2+まで酸化されるのに対し,中性・塩基性条件下ではMnO2にまでしか還元されません。この理由は後日、補足記事にて書こうかと思います。では!!!
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