暗記が速い人と遅い人の差
弁理士試験の勉強というのは、つまるところ暗記ゲーなんだけど、どうして暗記する速度が速い人(得意な人)と遅い人(苦手な人)がいるのだろうかとお昼休憩に考えてみた。
で、結論は、暗記するのが単純に速いとか遅いという話ではなくて、物事を理解する力が高いか低いかがキーなんじゃないかな?と。つまり、初耳の話を一度聴いて、深いところまで理解できる人は理解の上で暗記ができるので覚えるのが速くなるし、逆に何を言ってるのかわからんからとりあえず覚えるしかないとなってしまう人はどうしても遅くなる。
かくいう私も一年目に講義を聴いているときは2時間の授業を止めてメモをして考えてってやって3時間もかけて聴いていた。一方で、一発で2倍速で聴ける人もいる。理解力の差。
じゃあ理解力のない人間はどうすればよいのか?と言うと、まずは苦しいんだけど、一先ず理解できるところは理解を伴った暗記をしつつ、ハイブリッドで膨大な丸暗記に注力する。すると、知識が定着して改めて話を聴いてみると、「おっ、わかるじゃねぇか!」となってくる。不思議なもので知識が定着してくると、初めは止めて3時間もかけて聴いてた講義が今では2倍速でちゃんと聴けるようになる。
まあ理解力が乏しい人間はまずは暗記に傾倒してしまって、先生の話をしっかり聴ける状況を作るというのもありかと思う。
残り50日ちょい、どう戦うか
残り50日ちょい、どう戦うか。とにかく上四法で8割(32点)を目指したい。上四法で8割取れれば、下三法でどれだけこけたとしても39点には到達するはずというのが一点目。それから、結局上四法で何点取れたかが論文試験で戦う上でのキーになってくると思われる。だから上四法の知識は確立する必要がある。だがしかし、下三法の方がグッと短期間で点数を伸ばしやすい科目でもあると思う。なので、下三法に関しては短期間で幹の部分(美味しいところ)だけをがぶがぶ食べて試験に臨む所存。
さすがにそろそろ真剣モードにならないとダメだよね(いや、真剣ではあるんですが)。
過去問25年分を6周目解いているがまだまだ新たな発見だらけ
42条取下擬制について
過去問25年分が収録された短答レボリューションを今6周目、いや7周目?もうわからんくらい何周も回してるんですが、回すたびに発見がまだまだあります。さっきも言ったように知識がついた上で改めて解説を読むと、「ん~。だからそういう規定ぶりになってるのか。」と行間を読めるようになってきました。
複数の者が共同して特許出願をしたときは、43条に規定されるパリ条約による優先権主張の手続については各人が全員を代表してこれをすることができる。
短答過去問
まあ単純に14条に列挙されてるかどうかを問う問題で、14条に列挙されていないから〇。これで終わってしまうとこの問題を味わいきれてないと思うんですよね。というのも、14条といえば関連して委任代理人の特別受権(9条)が思い出されると思うんです。
で、9条に列挙されている特別受権が必要な事項として「『国内』優先権の主張」というのがあるんですね。で、9条に列挙されている事項は平たく言えば、不利益行為というのは本人に許諾を得た上でしか行為を行えないということなんですよね。
私は初めてこの条文と出会ったときに、どうして国内優先権の主張は列挙されているのに、パリ優先権の主張は列挙されていないのかと思ったんです。でも、考えてもわからないですよね。だから丸暗記をしました(←ここで理解力のある人は行間を読み取り、どうしてそういった規定ぶりになっているかを自力で思いつくことができるので”早い”。哀しい。)。
私みたいに理解力が乏しいタイプは一旦暗記に逃げるのは吉だと思うんです。ただ、もう一度”強くなって”戻ってきたときに、改めて同じ問題を解いてみて、「どうしてだろう?」って考えるということは非常に重要なことだと思うんですよね。
で、前置きが長くなったんですが、国内優先権の主張をした場合は42条1項により先の出願が取下擬制になってしまいます。しかしながら、パリ優先権の主張をしたとしても42条1項は適用されず、第一国出願は生きたままなんですね。つまり、
- 国内優先権の主張=42条取下あり=不利益行為=9条に列挙される
- パリ優先権の主張=42条取下なし=不利益行為でない=9条に列挙されない
ということなんです。よく考えるとこんな感じです。でもって、じゃあよくよくよく考えてみて、どうして国内優先権の主張の場合は42適用で、パリ優先権の主張の場合は42適用でないのか。これをじっくりと具体的な状況を思い浮かべて考えてみるのです。すると、
国内優先権の主張の場合は、日本人がある出願Aをして、+αの新たな発明をした場合に出願Bをするというイメージだと思います。なので、必然的に出願Aの内容と出願Bの内容は似てくると思うんですよね。改良発明みたいなもんなので。だから、もし出願A(先の出願)を生かしたまま特許権になってしまった場合、出願Bも特許権になると同じ日本国内にほとんど同じ特許権が生まれてしまうわけです。ダブルパテントですね。だから、それを防ぐべく先の出願は要らないでしょという意味合いを込めて42条の取下擬制という制度があるわけです。
一方で、パリ優先権の主張の場合は、パリ同盟国民(例えばアメリカ人)がアメリカで出願Aをして、その後、当該アメリカ人が「ああ日本でも出願Aの発明の特許権をトリタイデスヨ~~!」と言って、日本に同じ発明の出願Bをするんです。出願Aはinアメリカで、出願Bはin日本ということになります。特許権というのは属地主義の原則より、出願Aと出願Bがどちらもめでたく特許権となったとしてもダブルパテントにはならず、きちんとした権利として意味合いが出てくるのです。だからこそ、出願Aが42条の取下擬制にあうということはないのです。
今話した話は先ほども挙げたこの問題を解いていて私が考えた話です(なので論理が間違っていたらすみません)。ただ、これくらいの話って頭良い人だったら初めて9条の条文読んだ時に思いつくんですよね。そこの差。
複数の者が共同して特許出願をしたときは、43条に規定されるパリ条約による優先権主張の手続については各人が全員を代表してこれをすることができる。
まあそんな感じで、一つの問題を解いてるときに単純に〇か×かを考えるというだけではなくて、ものすごくたくさんのことを考えます(時には余計なことを考えているかもしれません)。とにかく3年目受験生ですが、未だに同じ問題を解いていて色んな異なる角度で考えて色んな発見があります。
きっとこういった思考プロセスが速い人が、理解力が追い風となって、暗記する速度が速く、結果として速く合格するのだと思います。でも、元々持ってる頭脳スペックを上げることは不可能なので、そこは甘んじて、根気よく考えることが私のような凡人にとって一番大事なことなんだと思います。
冒認出願には先願の地位があるのかについて
これも先日ツイートしてました。冒認出願には先願の地位があるのかについて。結論から言うと、冒認出願自体は先願の地位はありつつも、冒認出願であることを審査官が見抜いて拒絶査定し、拒絶査定が確定した場合に先願の地位が失われるというイメージだと思います。
その理由としては、冒認出願に先願の地位を認めないとすると、真の権利者が同じ発明について出願をした場合に特許査定が出てしまい、特許権となってしまうからです。
もう少し詳しく言うと、冒認出願Aが先願の地位を認めないとする。冒認出願Aのあとに真の権利者が出願Bをする。Aには先願の地位がないので、Bは特許権になる。しかも、Aについて真の権利者は74条移転をすることが可能である。ということはAとBがダブルパテントになってしまう可能性があるということです。これを踏まえると、冒認出願A自体に先願の地位を有すると認め、後願であるBを排除する必要があるということになります。で、これ自体は恐らく検索をしていて正しいと思うのですが…
これを踏まえて以下のようなツイートを先日しました。
冒認出願は先願の地位を有するかという問題。私個人としては、H20-15-2改では有しないで×(∵拒絶理由存する)は謎です。 最終的に審査官が拒絶査定をし確定した場合に先願の地位が失われるのであり、将来の帰趨を明言するのは難しい気もします。審査官の判断に誤りがないという表現が冒認を見逃さないという意味合いになるのでしょうか。まあ要するに拒絶理由があるというのは、例えば32条違反をしているものが先願やったとして、今後絶対拒絶されるからというニュアンスで先願の地位がないとする感覚と同じなのでしょうが。 しかしながら見過ごす可能性を考慮して、普通に冒認出願に先願の地位を与えると考える問題もあります。ニュアンスが難しい。冒認出願に先願の地位があること自体は正しいと思うのですがね。なぜならば74条移転請求を認めている以上、後願で真の権利者が出願してしまう場合、真の権利者が74条移転請求するとDPになるからです。なので後願排除効はあるべきなのです。
多分思うにですが、H20-15-2は改題であるので、改題があまりうまくなくてこういった弊害が出てるのではないかと推察しております。合ってるか知りませんが。多分、恐らくですが、冒認出願は先願の地位がある場合がある程度のニュアンスに留めて問題を解くのが良いのかなと思います。もうこればかりは状況に寄りけりですね。いくつあるか問題で出されると非常にうっとうしいですが、拒絶査定が確定している空気がなければ(例えば審査段階)、先願の地位はあるとして問題を解くのが良いのかもしれません。
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