【学習とは具体例を抽象化すること】勉強ができる子とできない子の違い

雑記

学習とは具体例を抽象化することである

抽象化するとは

どうも、ニシジマ(@nishijima1029)です。普段は予備校で模試を作っており、弁理士試験の勉強をしています。ということで今回のテーマは「学ぶ」とは何か?抽象と具体。

「学ぶ」ということは「知る」ということであって、「理解する」ってことなんですね。つまり、覚えたとか覚えてないとかそういう次元の話ではなくて、意味がわかるということをもって「学んだ」ってなるわけです。では、何をもって「学んだ」となるんでしょうか?

それがまさに「具体例を抽象化させること」なんですね。抽象的な概念を理解して初めて「学んだ」と言えます。

例えば、小学校で花子さんが池の周りを走るみたいな算数がありますね。そして、中学校に上がるとそれがxやyになる。これはまさに抽象化なんです。いつまでも「花子さんじゃないとわからないT_T」と言ってるというのは抽象化できていない(=わかっていない)証拠なんですね。

なぜ抽象化させるべきなのか

抽象を理解すると、全ての具象を理解できるようになる。手っ取り早い。

では、どうしていつまでも「花子さんが走り続けていつたどり着くか」の世界線で生き続けることがいけないのでしょうか?どうしてそれが「学んだ」とならないのでしょうか?それは、「花子さん」が一見全然違うもの例えば「光の速度」に変わった途端に理解ができなくなるからです。xやyとは、「xにたかしくんを入れても良いし、車を入れても良い。yに花子さんを入れてもいいし、自転車を入れても良い。」ということなんです。抽象化させることでたった一つの具体例「花子さんが走り続けていつたどり着くか」という話から「見えている月の光はいつの光なのか」という話や「300ページあるテキストを10日で終わらせるためには毎日どのくらいこなさないといけないのか」という話や「時計の長針と短針が重なる問題」まで理解できるようになるのです。つまり、抽象化とは、一般化であり、「本質的には同じことを言ってる」と理解することなんですね。

上が抽象的概念で、下が具体例。

では、具体的に「抽象化」を体験してみましょう。

Q1. 花子さんは池の周りを歩いています。花子さんは毎秒2mで歩いており、池の円周は200mです。花子さんは歩き始めて何秒後に1周できるでしょうか。
答え 200÷2=100 100秒後

では次の問題。

Q2. 光速は30万km/sです。私たちが見ている38km離れている月はいつの月でしょう?
38÷30‎ = 1.267 1.267秒前の月

速度と時間と距離の関係を理解せず、「距離÷速度=時間」という公式を丸暗記している小学生Aは「花子さん」の話から「光の速度」の話に変わった途端に意味がわからなくなるんですね。
でも、速度と時間と距離の概念をきちんと理解し、どういう関係にあるのかということを理解している(=これを抽象化と言います。)小学生Bは、「池と花子さんの話」が「月と光速の話」になってもちゃんと解けます。それは同じ問題に見えるからです。

小学生Bの頭の中では、「速度とは1秒間でどれだけ進むかの距離を表してる。だからどれだけ離れてるかという距離を速度で割ると、辿り着く時間が分かる。」こんな風に「距離÷速度=時間」という公式を見ています。最初に戻りますが、学ぶとは公式を覚えることではなく、その意味を理解すること(抽象化)なんですね。抽象化させた理解は強いです。なぜならどんな具体例にも対応できますから。

学ぶとは理解するということであり、抽象化するということである。

歴史を学ぶ意義は「悲劇を繰り返さないこと」

歴史を学ぶとはどういうことでしょうか?よく小学生や中学生が「何で歴史を学ぶんですか?」という質問をします。まあ色々と理由はあるんですが、先生が答える理由第一位(?)は「悲劇を繰り返さないこと」です。つまり、過去の歴史から学び、どうすれば上手くいくのか、どうすれば失敗してしまうのかということを予測する力を養うということです。これは要するに過去に起きたたくさんの事象(具体)を通じて、公式を作り上げる(抽象化)ような作業なんですね。

例えば、徳川家康は大坂冬の陣(1614)、夏の陣(1615)で豊臣家を滅ぼします。このとき、徳川家康の孫娘である千姫の旦那が秀頼(豊臣秀吉の息子)でした。徳川家康からすると、秀頼は孫娘の旦那にあたるため、情をかけて殺さないでおこうかと迷ったわけですが、ある出来事を思い出して殺すことになります。それが、「池禅尼の命乞い」です。池禅尼の命乞いとは、平家が隆盛を誇り、平治の乱で敗走した源義朝の息子、源頼朝を殺すか殺さないかという局面、平清盛の母、池禅尼に「この子だけは殺さないでおくれ。」と頼まれ、平清盛は殺さずに、伊豆へ幽閉することに決めました。これがのちに仇となり、源頼朝は挙兵し、平家滅亡へと追い込みます。鎌倉幕府が成立する前夜、1185年、壇ノ浦の戦いの話です。この話を歴史として学んでいた家康は、この出来事を思い出し、秀頼に情をかけることなく、孫娘の旦那と言えど、容赦なく殺したのです。

徳川家康

まさに、家康は歴史の出来事(具象)を抽象化してどうするべきかを判断したのですね。ニシジマも上司や父、母にこっぴどく怒られていました。怒られるようなこと(具象)ばかりしていたのに、せっかくの具象を抽象化できていなかった模様ですね。

「ごめんなさい!!もうしません!!」とは、「抽象化しました。」ということなのです。

数学ができない子どもたち

予備校でたくさんの生徒さんを見ていると、数学がどうしてもできない子たちがいます。彼らの共通点は具体的な一問一問の問題を抽象化することができていない点です。
一言で、「抽象化できてないから具体例を通じて抽象化させようね!」と言ったとてそんな一言で解決するわけではありませんが(こんなに漠然とした表現で「わかりました!」となるなら、元から勉強ができている)、現実として問題点はそこにあるんですね。

問題を解くというのは、具体的な事例(問題)を通じて、この問題では何を言いたかったのかということを「抽」出することにあるんですね。しかし、数学ができない子たちは誤った認識をしていて、一問に出会ったときにその一問の解き方を覚えようとする。そういう勉強をしていると、少し変化させた類題や、複合的になった問題に太刀打ちができないのです。一問から一問しか学べなかったとしたら、それは分かってないということなんです。学習というのは一問解くことで十問の類題を解けるようになることなんですね。もちろん急に抽象化しろ!と言われてもできないとは思うのですが、少なくとも抽象化しないと学習としてあまり意味はないという意識は必要なのだと思います。

弁理士試験も同じです。具体的な問題(短答の枝問)を抽象化しないといけない。抽象化したものって何だと思いますか?条文です。つまり、具体的な問題を通じて条文を正確に理解し、最終的な目標としては、抽象化された条文から具体的な問題を解くことなんです。そうすることで、「条文を理解していればどんな訊き方をされても答えられる」という強い状況になれるのです。

演繹法で学べる人は頭が良くて理解が早い

化学や英語や法律などたくさん勉強してきて思うことがあるんですよ。演繹法的(まず抽象を理解して、具体例をあてはめていく思考法)な思考の人と、帰納法的(まずたくさんの具体例に当たることで、抽象化された公式を導き出す思考法)な思考の人。正確には演繹法的に考えられて、帰納法的に「自分の推論が正しかったか」再確認する人と、いつまでも帰納法的にしか考えられない人。
抽象化された概念をすんなり受け入れられて、じゃあ具体的な事象にそれを当てはめられるかと試せる人と、抽象化された概念を理解できないので、たくさんの具象と出会うことで抽象化された概念を理解する人。前者が頭の良い人で、後者が凡人です。おそらく95%くらいは後者だと思います。

哺乳瓶を咥えてた赤ちゃんに「『+』っていう記号は物と物を合わせる演算子なんだよ!」と教えて、
赤ちゃんが「あーおっけ!てことは、、、教えてもらった色んな数字使って試すか〜。3+2=5か!!」とはならないんですよね。大体の場合は「3+2=5です。5+6=11です。」っていっぱいディープラーニングさせると、赤ちゃんは「『+』とはつまり足し合わせる演算子なんですね。」と理解するのです。

演繹法的な思考力をもつ人間が最強で、学習速度はめちゃくちゃ早い。その次が、帰納法的思考力をもつ人間。これはまさしく凡人(の中では比較的賢いとも言える)。そして、このどちらでもなく、帰納法的な思考もできない人間というのもいて、これは具象に対して永遠と具象の理解に留まってしまう人です。これは1つの具象を理解して1つの具象を手に入れる方法で学習とは言えません。

つまり、学習の最終目標は抽象化された概念を理解することで、その目標達成を勘違いして、目の前の1問を解けるようになることだけを意識してしまう人は永遠と成績が伸びないのです。なぜなら公式の意味を理解するという抽象的なものの理解に乏しいからです。最低でも10を聞いて1を「知る」という帰納法的思考力が必要なのです。「知る」ことが学習ですから。帰納法的な思考もできない人は10を聞いても何も知れないのです。執拗ですが、知るというのは抽象化された概念を理解することなのです。

この記事を書いた人
ニシジマ

人生に惑うアラサー。このままでええんか?と一念発起。本屋で知財検定と出会い2級に合格。2021.3.15から弁理士試験の勉強スタート。R4は25点、R5は38点。R6必須論文合格、選択科目落ち。R7最終合格!化学科卒業後に予備校に就職。化学を担当。twitterID : @nishijima1029

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